東京地裁(平成9年47日)“切断装置事件原告は、特許法103条の規定について、特許公報が公開されていることを前提とするものである旨主張しているところ、原告の同主張は、特許公報の発行までの間は、同条に基づく過失の推定が覆滅されるべきであるとの趣旨とも解されるが、@・・・・特許権の設定登録がされれば、特許の内容を知り得る状態になること、A登録から特許公報の発行までは、事柄の性質上、ある程度の期間を要すると考えられ、特許権発生後、特許公報が発行されていない期間が生じることは、特許法の規定上、予定されていると解されること、B同法103条は、単に『特許権』を侵害した者はその侵害の行為について過失があったものと推定される旨規定し、特許権の発生時(登録時)から過失による不法行為責任を負うことを原則としており、特許公報の発行を過失の推定の要件と定めてはいないことからすれば、特許公報の発行前であることのみをもって過失の推定が覆されると解することは相当ではない(以上と同旨の結論をいう裁判例として、東京地裁平成・・・7年2月0日判決参照」と述べている。

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