東京地裁(平成9年47日)“骨折における骨の断片の固定のための固定手段装置事件本件明細書の記載によれば、本件各発明は、骨折における骨の断片の固定のための固定手段装置に関するものである。従来技術(甲0発明、乙9発明)において、ピンが側面開口部を通る出口を見つけられずにスリーブ内部で変形する危険性、及び、周囲の骨物質に移動するピンの前端部の部分が有利に曲がった状態に変形しない危険性があった。本件各発明は、これらの問題点を克服するために、請求項1の構成を備えることにより、@ピンが作動可能位置を離れ意図しない動作をすることを防ぎ、及び/又は、Aピンの端部において骨の断片の安定した固定が得られ、かつ、骨の断片を貫通するピンが減るような有利な湾曲状態を得られるとの作用効果を奏することができる」、「上記のとおり、本件発明1は、請求項1の構成を採用することによって従来技術の問題点を克服し、上記各作用効果を奏するとされているところ、構成要件Fを除く本件発明1の構成要件(AないしE及びG)の構成は、従来技術である乙9発明に開示されていると解される。そうすると、本件発明1の本質的部分は、構成要件Fであり、上記各作用効果を奏する構成は、構成要件Fに規定された構成であると解される」、「被告製品は、構成要件Fの『前方部(7a)は・・・・ピンの後方部(7e)から斜め前方向に方向づけられて』を充足しない」、「被告製品のピン前方部がピン後方部から斜め前方向に方向づけられていない点が、本件発明1と被告製品の相違点になる場合の均等侵害について、・・・・上記相違点は本件発明1の本質的部分であるから、均等の第1要件を充足せず、均等侵害が成立する余地はない」と述べている。

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