知財高裁(平成9年53日)“ナビゲーション装置事件本件明細書によれば、本件発明は、従来技術では経路探索の終了時にいくつかの経由地を既に通過した場合であっても、最初に通過すべき経由予定地点を目標経由地点としてメッセージが出力されること・・・・を課題とし、このような事態を解決するために、通過すべき経由予定地点の設定中に既に経由予定地点のいずれかを通過した場合でも、正しい経路誘導を行えるようなナビゲーション装置及び方法を提供することを目的とし・・・・、具体的には、車両が動くことにより、探索開始地点と誘導開始地点のずれが生じ、車両が、設定された経路上にあるものの、経由予定地点を超えた地点にある場合に、正しく次の経由予定地点を表示する方法を提供するものである・・・・。また、・・・・本件特許出願当時において、ナビゲーション装置が、距離センサー、方位センサー及びGPSなどを使って現在位置を検出し、それを電子地図データに含まれるリンクに対してマップマッチングさせ、出発地点に最も近いノード又はリンクを始点とし、目的地に最も近いノード又はリンクを終点とし、ダイクストラ法等を用いて経路を探索し、得られた経路に基づいて、マップマッチングによって特定されたリンク上の現在地から目的地まで経路誘導するものであったことは、技術常識であったと認められる。このように、本件発明は、上記技術常識に基づく経路誘導において、車両が動くことにより探索開始地点と誘導開始地点の『ずれ』が生じ、車両等が経由予定地点を通過してしまうことを従来技術における課題とし、これを解決することを目的として、上記『ずれ』の有無を判断するために、探索開始地点と誘導開始地点とを比較して両地点の異同を判断し、探索開始地点と誘導開始地点とが異なる場合には、誘導開始地点から誘導を開始すること(サイト注:構成要件G)を定めており、この点は、従来技術には見られない特有の技術的思想を有する本件発明の特徴的部分であるといえる。したがって、探索開始地点と誘導開始地点とを比較して両地点の異同を判断する構成を有しない被控訴人装置が本件発明と本質的部分を異にすることは明らかである」、「したがって、本件発明の構成要件Gを被控訴人装置の構成に置換することは、少なくとも均等の第1要件・・・・を充足しないから、被控訴人装置が本件発明と均等であるとはいえない」と述べている。

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