知財高裁(平成29年5月30日)“印刷物事件”は、「特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである」、「原告は、本件特許の特許請求の範囲請求項1の記載のうち、『当該分離して使用するもの・・・・の上部、下部、左側部(右側部)の内側及び外側に該当する部分・・・・』の各部分が明確ではない旨主張する」、「本件特許の特許請求の範囲請求項1の記載のうち、『当該分離して使用するもの・・・・の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分・・・・』とは、印刷物の中央面部の所定の箇所に印刷された所定の大きさを有する、その外形は特定されない分離して使用するもの・・・・の、上部、下部又は左側部のいずれかのうち、その周囲に設けられた切り込みの内側及び外側であって、その範囲は具体的には特定されない部分に該当する部分であって、請求項1の記載のうち、『当該分離して使用するもの・・・・の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分・・・・』も同様であって、これらの記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるということはできない。したがって、『当該分離して使用するもの・・・・の上部、下部、左側部(右側部)の内側及び外側に該当する部分・・・・』との各記載は明確であるから、本件特許の特許請求の範囲請求項1の記載が明確性要件に違反するということはできない」と述べている。 |