知財高裁(平成29年6月14日)“加工飲食品事件”は、「原告らは、本件明細書の・・・・『なお粘度を有している場合』との記載は、例外的に本来であれば通過しなければならないような大きさの不溶性固形分が篩に残る場合、例えば、不溶性固形分がメッシュよりも明らかに大きな塊となっている場合を想定し、本件測定方法を実施する上での注意的な事項として付記的に記載したものであり、ほとんどの場合、本件明細書全体から判断し、追加的に粘度の判定及び水洗を実施せずに、・・・・本件測定方法によって不溶性固形分の測定を行えばよいと判断できる旨主張する。しかしながら、仮に、原告らの主張するように、『なお粘度を有している場合』・・・・が例外的な場合であったとしても、本件発明の対象である加工飲食品には限定がなく、本件明細書上、上記のような粘度を有する場合が想定されるのであるから、水洗をすることによって各篩上の不溶性固形分の重量を正しく測定することが必要となるのであり、そうである以上、水洗の要否を判断するために、サンプルが『なお粘度を有している場合』であって、『メッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が篩上に残存する場合』に該当するか否かを判別することを要する」、「本件明細書には、その判別方法が開示されておらず、当業者であっても、その後の水洗の要否を判断することができない」、「本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められない」と述べている。 |