知財高裁(平成29年6月22日)“苦味マスキング食材事件”は、「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において、当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう『発明が明確であること』という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情(不可能・非実際的事情)が存在するときに限られると解するのが相当である(最高裁平成・・・・27年6月5日・・・・判決・・・・参照。)。請求項11についてこれをみると、請求項11は、『請求項5乃至請求項10のいずれか1項の方法を用いて製造されたことを特徴とする可食物。』というものであるから、請求項11は、物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合に当たる。そして、本願明細書・・・・には、不可能・非実際的事情について何ら記載がなく、当業者にとって不可能・非実際的事情が明らかであることを認めるに足りる証拠もない」、「そうすると、特許請求の範囲の記載のうち、請求項11の記載は、特許法36条6項2号所定の『発明が明確であること』を充足しないから、本願は、全体として特許を受けることができない」と述べている。 |