東京地裁(平成9年68日)“負荷試験機事件本件発明の構成要件A−3にいう『絶縁素材で構成され前記抵抗器群の側面を覆う枠を含む抵抗ユニット』とは『絶縁素材で構成され(た)』『枠』であって『前記抵抗器群の側面(すなわち『上面』及び『下面』を除く四面『を覆う枠『を(構成要素として)含む『抵抗ユニット』を意味すると解するのが相当というべきである(なお、仮に『前記抵抗器群の側面』を『上面』及び『下面』を除く四面の全てと解することが相当でないとしても『隣り合う抵抗ユニット間の絶縁のために』という目的ないし『隣り合う抵抗ユニットとの絶縁性を高める』という作用効果からすれば、少なくとも、互いに隣り合う関係にある『枠』が『絶縁素材で構成され』ていることは、最低限、必要であると解するべきである。)」、「原告は、特許請求の範囲の『含む』との文言を根拠として、絶縁素材で構成されない『枠』の存在は排除されておらず『抵抗器群の側面』のいずれかを『覆う枠』が『絶縁素材』であれば『絶縁素材で構成され前記抵抗器群の側面を覆う枠を含む』との要件を充足する旨主張する。しかし、本件明細書等において『抵抗ユニット』が『抵抗器群』と『枠』を構成要素とするとされていることは、前示のとおりであるから、構成要件A−3にいう『含む』という用語は『枠』が『抵抗ユニット』の構成要素であること、すなわち『抵抗ユニット』が『枠』を『含む』ことを規定したものと理解すべきであるし、本件明細書等において『前記抵抗器群の側面』という用語が『上面』及び『下面』を除く四面を意味するものとして用いられていることも、前示のとおりである・・・・。また、実質的に考えても、本件明細書等の記載に照らせば『前記抵抗器群の側面』を『絶縁素材で構成され(た)』『枠』で『覆われ』るようにする技術的意義は『隣り合う抵抗ユニットとの絶縁性を高めるため』であると解されるところ『前記抵抗器群の側面』の中に絶縁素材で構成されない『枠』で『覆われ』るものがあれば、その『枠』と『隣り合う抵抗ユニットとの絶縁性を高める』ことができないことに帰するといえる。したがって、構成要件A−3における『含む』との文言は『抵抗ユニット』が『前記抵抗器群』の『上面』及び『下面』を除く四面『を覆う枠『を(構成要素として)含む』ことを規定したものであり『隣り合う抵抗ユニットとの絶縁性を高める』という作用効果からすれば、最低限、互いに隣り合う関係にある『枠』が『絶縁素材で構成され』ていることを要するというべきである。原告の上記主張は、特許請求の範囲及び本件明細書等の記載に基づかずに『含む』という文言を形式的に解釈しようとするものであって、採用することができない」と述べている。

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