大阪地裁(平成9年73日)“光硬化型樹脂を用いた付け爪の製造方法事件まず、特許請求の範囲の記載を見ると、第二工程では、第一工程で製造した成形型に光硬化型樹脂を注型して『光硬化型樹脂の付け爪』を製造するとされている。したがって、当然のことながら、構成要件Aの『成形型』の成形空間と構成要件Bの『光硬化型樹脂の付け爪』の形状、サイズは同一であると解される(この点については、当事者間にも争いはない。)。そして、第一工程の目的、第二工程で製造するもの、第三工程でユーザーの自爪に付けるもののいずれもが『光硬化型樹脂の付け爪』と、同じ文言で規定されている。そうすると『光硬化型樹脂の付け爪』という同一の文言を別の意義で使用したことをうかがわせる特段の事情がない限り、第一工程で製造の目的とする『光硬化型樹脂の付け爪、第二工程で製造する『光硬化型樹脂の付け爪』と第三工程でユーザーの自爪に付ける『光硬化型樹脂の付け爪』は同じもの、すなわち、同一の形状、サイズのものをいうと解するのが相当である」、「本件明細書上も、第三工程において、第二工程で製造した『光硬化型樹脂の付け爪』の形状、サイズを変えるような工程は想定されていない以上、上記特段の事情は認められないから、構成要件Bの『光硬化型樹脂の付け爪』は、構成要件Cの『光硬化型樹脂の付け爪』と同じもの、すなわち、ユーザーの自爪につける付け爪と同一の形状、サイズのものをいうと解される。そして、上記のとおり、構成要件Aの『成形型』の成形空間と構成要件Bの『光硬化型樹脂の付け爪』の形状、サイズは同一であると解されることから、構成要件Aの『成形型』の成形空間も、構成要件Cの『光硬化型樹脂の付け爪』の形状、サイズと同一であると解されることとなる」と述べている。

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