東京地裁(平成9年79日)“発光装置事件被告は、原告が研究に従事する前から『LE−(サイト注:A実施品、すなわち、本件発明Aの実施品)の開発研究をテーマとしていたこと、特許Aの出願後も、・・・・研究が続けられていたこと『LE−p』の売上が急激に伸びたのは、特許Aの登録から5年以上経ってからであり、このことは特許の成立だけでは『LE−p』の高い市場占有率を確保できなかったことを裏付けているといえること、より性能の高い製品化や量産化、月産数億個に及ぶ大量の受注を受ける体制が整って初めて売上高が急激に伸びたこと、この点はさらに、量産化の技術や大手液晶メーカーへの営業、被告独自の販売戦略などの点における被告の貢献が大きく寄与しているものとみられることなどが認められ、これらの事情を総合考慮すれば、共同発明者の貢献度(サイト注:本件発明Aによる独占の利益に係るもの)は5パーセント(被告の貢献度を5パーセント)と認めるのが相当であり、・・・・これを下回るものとは認め難い」、「@被告が、平成6年頃から、導光式バックライトの研究開発を行い、プリズムシートの代わりとなる溝付き導光板を試作し、評価・検証を実施していたこと、A本件特許Bないし同Hは、その出願後、長期にわたり登録に至っていなかったところ、被告は、これらの特許の登録前に『PSP−LGP』の量産化に成功し、平成5年度からその売上げを急激に伸ばしたこと)に照らせば、本件発明Bないし同Hが、その発明者ないし共同発明者・・・・の努力及び創意工夫によって、見いだされたものであるとしても、上記発明者ないし共同発明者は、被告による費用負担の下、被告に雇用された後に得た知識経験に基づき、上司の指示に従い、開発グループでの職務を通じて、これらの発明を完成させるに至ったものとみることができるし、B〜H実施品(サイト注:本件発明Bないし同Hの実施品)である『PSP−LGP』が多大な売上げを計上したことに関しては、特許が登録されたことよりも、むしろ被告の有する量産化のための技術力、営業力などが相当大きく貢献したものとみることができる。このような本件発明Bないし同Hに関する諸事情を総合考慮すると、これらの発明に係る相当の対価の算定に当たっては、発明者ないし共同発明者の貢献度を5パーセント(被告の貢献度を5パーセント)と認めるのが相当であり、被告が主張する種々の事情を考慮しても、発明者ないし共同発明者の貢献度がこれを下回るものとは認め難い」と述べている。

特許法の世界|判例集