東京地裁(平成29年7月19日)“発光装置事件”は、「本件のように、使用者等(被告)が従業者等(原告)から職務発明について特許を受ける権利(又はその持分)を承継して、特許を保有するに至り、かつ、当該特許について第三者に実施許諾せず、当該発明を自己実施している場合、・・・・当該発明の実施品の期間売上高(当該特許権の存続期間満了までの予測値を含む。)に、超過売上率及び仮想実施料率(当該実施品に複数の特許が使用されているときは、超過売上率、仮想実施料率及び特許寄与率)を乗じて、独占の利益(当該発明により使用者が受けるべき利益)の額を求める」、「本件特許Bないし同Hの内容・・・・のほか、・・・・平成17年当時のLED導光式バックライト市場における『PSP−LGP』(サイト注:B〜H実施品)のシェア・・・・、『PSP−LGP』の売上げの推移、代替技術の存在など・・・・、B〜H実施品の期間売上高には本件特許Bないし同Hの登録前の期間に係る部分が含まれること・・・・を総合考慮すると、本件特許Bないし同Hの総体に基づくB〜H実施品の超過売上率は、10パーセントとするのが相当である(後記・・・・のとおり、この10パーセントの超過売上率に占める個々の特許の寄与の程度を後に考慮する。)」、「本件特許Bないし同Hの内容及び実施料に関する公表された統計・・・・、B〜H実施品の期間売上高には本件特許Bないし同Hの登録前の期間に係る部分が含まれることなどを総合考慮すると、B〜H実施品に対する仮想実施料率は、統計上の最頻値とされる1パーセントとするのが相当である」、「B〜H実施品は、本件発明Bないし同Hの全ての実施品であることから、各発明に係る相当の対価の算定の前提となる独占の利益を求めるに際しては、本件特許Bないし同Hの寄与の程度(特許寄与率)を考慮することが相当である(なお、B〜H実施品につき、被告の保有に係るその余の特許の寄与は、主張されていない。)」、「本件特許Bないし同Hの内容・・・・に加え、原告は、本件特許Hを基本特許、その余の特許B、同C、同D、同E、同F及び同Gを改良特許と位置付けているところ、これらの特許の内容に照らし、かかる位置付けを是認することができること、被告は、これらの特許に関する実施褒賞金の算定に際し、『特許の寄与率』のうち『発明部分比』を、本件特許Hにつき『0.3』、本件特許Dにつき『0.2』、その余の特許につき『0.1』としたこと・・・・などの事情を総合考慮すると、特許寄与率は、本件特許Hにつき30パーセント、本件特許Dにつき20パーセント、その余の特許につき各10パーセントとするのが相当である」と述べている。 |