東京地裁(平成9年77日)“ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体事件「原告のオキサロール軟膏の市場シェア喪失による損害額を計算するに際しては、被告による本件特許権侵害があった場合となかった場合との差額を考慮する必要があるところ、・・・・被告製品の薬価収載によって原告製品(オキサロール軟膏を含む)の薬価が下落し、原告・マルホ間の取引価格も下落した(すなわち、被告製品の薬価収載がなかったならば、原告・マルホ間の取引価格の下落はなかった)ものといえるから、オキサロール軟膏の薬価下落後も、薬価下落前の取引価格を前提として原告の損害額を計算すべきである。この点に関し、被告らは、特許法102条1項は、侵害品の販売分に関する原告の損害額を推定するものにすぎず、薬価下落後も下落前の販売価格を用いて限界利益を計算することはできないと主張する。しかし、本件においては、・・・・被告製品の薬価収載と原告製品の薬価下落及びそれに起因する取引価格の下落との間の相当因果関係が認められるために、オキサロール軟膏のシェア喪失による原告の損害額(侵害品の販売分に関する原告の損害額)を計算するに当たっても薬価下落前の取引価格を前提としているものにすぎず、被告らの上記主張は理由がない」と述べている。

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