東京地裁(平成9年77日)“ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体事件被告らは、本件において被告らには故意・重過失がない上、原告が特許出願時に容易にクレームに記載し得る技術をクレームに記載しなかった以上、特許法102条4項後段を適用して損害額を減額すべき旨主張する。しかし、・・・・被告らは、いずれも医薬品の製造販売等を業としているのであるから、その販売する医薬品の特許権侵害については高度の注意義務を負うというべきところ、被告製品の販売前に、本件特許の内容や本件製造方法が本件特許権を侵害する可能性について慎重に検討したならば、本件製造方法が本件発明の構成と均等であると判断される可能性について十分認識可能であったこと、・・・・原告に特許請求の範囲の記載について過失があったとまでは認められないこと等を考慮すれば、本件において、特許法102条4項後段を適用して原告の損害額を減額すべきほどの事情は見当たらず、被告らの上記主張は採用できない」と述べている。

特許法の世界|判例集