知財高裁(平成9年8月1日)“静電容量式タッチパネル付き表示装置事件「表面型静電容量式タッチパネルと投影型静電容量式タッチパネルとは、近接する技術ではあるものの、その機能や性状を異にするものであるから、直ちに置換可能な技術ということはできず、これを置換することには相応の動機付けが必要であるというべきである」、「しかし、甲1には、・・・・基板両面構成の投影型静電容量式タッチパネルは記載されておらず、表面型静電容量式タッチパ ネルを基板両面構成の投影型静電容量式タッチパネルに置換することは、記載も示唆もされていない。また、・・・・甲・・・・は、従来技術として、基板両面構成の投影型静電容量式タッチパネルを開示しているが・・・・、表面型静電容量式タッチパネルを基板両面構成の投影型静電容量式タッチパネルに置換することは、記載も示唆もされていない。さらに、甲7、乙1の1・2は、いずれも静電容量式タッチパネルの種々の方式及び構成を列挙するものであるが、表面型静電容量式タッチパネルを基板両面構成の投影型静電容量式タッチパネルに置換することは、記載も示唆もされていない」、「そうすると、表面型静電容量式タッチパネルである甲1発明を、投影型静電容量式タッチパネルの基板両面構成に変える動機付けがあるということはできない」、「以上によると、相違点3(サイト注:本件訂正発明5では『さらに、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第2の保護シートとを備える』のに対し、甲1発明では、それらを備えていない点)は、当業者が容易に想到し得るものとはいえないから、本件訂正発明5は、甲1発明を主引用発明として容易に発明をすることができたものとは認められない」と述べている。

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