大阪地裁(平成29年8月31日)“美肌ローラ事件”は、「乙29公報においては、ローラの回転軸を柄の長軸方向の中心線とそれぞれ鋭角に設け、一対のローラの回転軸のなす角を鈍角に設けることにより、マッサージ動作によって皮膚の張りが向上し、皮膚表面の水分と皮脂が大幅に減少するとの技術的意義が開示されている。これに対し、乙24発明も、皮膚の活性化を図るマッサージ器に関するもので、皮膚にある油分等の老廃物を取り除くという課題を有しており、相違点2に係る『ローラの回転軸である横軸部が把持部の中心線とそれぞれ直角に設けられ、一対のローラの回転軸に相当する横軸部のなす角が180度に設けられている』との構成は、『2つのローラが離れて支持されていると、皮膚に与える機械的な刺激が大きくなるというメリットがある。』・・・・、『ローラ100は2つあるので、ローラが1つのタイプのものより皮膚に与える機械的刺激が多くなるというメリットがある。』・・・・として、ローラが2つあることの機械的刺激により皮膚の活性化に寄与する技術的意義を有するものとされていると認められる。このような一対のローラの技術的意義の共通性に照らすと、乙29公報に接した当業者が、皮膚へのマッサージ効果を向上させ、皮膚の油脂を取り除く観点から、乙24発明における『ローラの回転軸である横軸部が把持部の中心線とそれぞれ直角に設けられ、一対のローラの回転軸に相当する横軸部のなす角が180度に設けられている』という構成に代えて、乙29発明の構成を適用して、ローラの回転軸を柄の長軸方向の中心線とそれぞれ鋭角に設け、一対のローラの回転軸のなす角を鈍角に設ける構成を採用する動機があったというべきであり、容易に想到することができたと認めるのが相当である」と述べている。 |