大阪地裁(平成9年92日)“排液器事件本件発明1の構成要件D、Fに共通する要素である『ボディ部』の技術的意義について、原告は、フック部から延設されて液体を排出する機能を有する部位程度の意義に捉え、構成要件Gと関係しないもののように主張するのに対し、被告らは、排出する機能について、構成要件Gで特定される液体の流路と関連付けた上、ボディ部腹部は連続した表面を有し、その表面積が広く確保される形状を有するものであると主張している。ところで『ボディ部』の語としての一般的意味は『本体部』であると解され、その語自体から、部材の具体的構成が特定されているとはいえないが、特許請求の範囲請求項1の記載によれば『ボディ部』は『フック部』から『延設され』、『フック部により導かれた液体を排出する』機能を有し(構成要件D、さらに『腹部』と『テール部』とされる部位を備えるとされている(構成要件F。そして、その『腹部』と『テール部』は『前記腹部の眼瞼縁側表面と前記眼瞼縁又は前記医療用ドレープとの隙間を伝わせて、前記テール部の表面に到達した後に液体を排出する(構成要件G)という機能を有するものとされているから、これによれば『ボディ部』は、フック部から延設される位置にあって、単に液体を排出するのではなく、フック部により導かれた液体を『ボディ部』が備える『腹部』と『テール部』を伝って排出することが構成要件Gによって特定されているといえる。すなわち『ボディ部』の技術的意義は、被告らが主張するように構成要件Gと関連付けて明らかにされなければならないといえる」と述べている。

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