東京地裁(平成29年9月21日)“気体溶解装置事件”は、「本件明細書の記載によれば、従来技術には、気体を過飽和の状態に液体へ溶解させ、過飽和の状態を安定に維持して外部に提供することが難しく、ウォーターサーバー等へ容易に取付けることができないという課題があった。本件発明1は、このような課題を解決するために、水に水素を溶解させる気体溶解装置において、水素水を循環させるとともに、水素水にかかる圧力を調整することにより、水素を飽和状態で水素水に溶解させ、その状態を安定的に維持し、水素水から水素を離脱させずに外部に提供することを目的とするものである。本件発明1では、水素を飽和状態で水に溶解させ、その状態を安定的に維持するために、加圧型気体溶解手段で生成された水素水を循環させて、加圧型気体溶解手段に繰り返し導いて水素を溶解させることとし、『前記溶存槽に貯留された水素を飽和状態で含む前記水素水を加圧型気体溶解手段に送出し加圧送水して循環させ』る(構成要件F)という構成を採用している。また、気体溶解装置において、気体が飽和状態で溶解した状態を安定的に維持し、水素水から水素を離脱させずに外部に提供するためには、水素を溶解させた状態の水素水が気体溶解装置の外部に排出されるまでの間に、水素水にかかる圧力の調整ができなくなることを避ける必要がある。このため、本件発明1では『前記溶存槽及び前記取出口を接続する管状路』(構成要件E)という構成を採用し、水素を溶解させた水素水が導かれる溶存槽と水素水を気体溶解装置外に吐出する取出口との間を管状路で直接接続し、水素水にかかる圧力の調整ができなくなることを避けているものと解される。以上のような本件発明1の課題、解決方法及びその効果に照らすと、生成した水素水を循環させるという構成のほか、管状路が溶存槽と取出口を直接接続するという構成も、本件発明1の本質的部分、すなわち従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分に該当するというべきである。被告製品は、管状路が溶存槽と取出口を接続するという構成を採用していない・・・・から、被告製品の構成は、本件発明1と本質的部分において相違するものと認められる」と述べている。 |