知財高裁(平成29年9月27日)“河川の上流部及び中流部における護岸の方法事件”は、「本願の請求項1における『付近にある中で大きめの石や岩』との記
載は、本願の護岸の方法に係る発明において、埋設される杭の間隔を規定する前提となる記載であるところ、本件審決は、『付近にある中で大きめの石や岩』との記載がどの程度まで大きいものを規定しているのかが不明であるとし、この点をもって、本願が明確性要件を満たさないことの根拠の1つとしている。そこで、上記記載の明確性について、以下検討する」、「『大きめ』という語自体は、『大きい』という性質や傾向をどの程度有するのかを何ら特定するものではないから、・・・・どの程度の大きさをもって『大きめ』とすべきかは、『大きめ』という語自体からは判然としないものというほかない。また、請求項1のその他の記載を参酌してみても、『大きい』という性質や傾向をどの程度有していれば、請求項1にいう『大きめ』に該当するのかを理解し得る手掛かりは見当たらない」、「本願明細書に記載され、又は図示された・・・・事項を参酌しても、『大きめの石や岩』又は『付近にある中で大きめの石や岩』との記載の意味を理解し得る手掛かりは見当たらない。加えて、請求項1の『大きめの石や岩』又は『付近にある中で大きめの石や岩』との記載の意味について、・・・・理解ができることを根拠付けるような技術常識を認めるに足りる証拠もない」、「以上によれば、本願の請求項1のうち、『付近にある中で大きめの石や岩』との記載は、その範囲が客観的に定まるものではないから、明確であるとはいえず、そうすると、請求項1の護岸の方法において、埋設される杭の間隔を規定する『付近にある中で大きめの石や岩がその場にとどまる事の出来る程度で、なおかつ小さな石や岩が最初に止まることもない間隔』との記載も、必然的に明確であるとはいえない」、「本願は明確性要件を満たさないとした本件審決の判断に誤りはなく、原告主張の取消事由1には理由がない」と述べている。
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