知財高裁(平成29年9月27日)“ズボン事件”は、「刊行物1発明は、隠しポケットを設けることによって実現される盗難等の事故防止の効果に加え、開閉自在な係止器具を設けることで、更に確実な効果を期待するものと理解でき、これによれば、盗難等の事故防止の効果をより確実にしようとする動機付けを十分有するものと認められるところ、刊行物2・・・・又は刊行物3・・・・に開示された『第二のポケットの口を覆うフラップを備えている。前記閉口手段の一部は、前記フラップに設けられている。』との構成は、貴重品の保持、紛失・盗難の防止を図り(刊行物2)、あるいは、ポケットに収納した携帯電話が抜け出るのを防止する(刊行物3)ものであって、フラップを有することで、更に盗難等の事故防止の効果が期待できることは、当業者にとって自明といえる。したがって、刊行物1発明は、刊行物2・・・・又は刊行物3・・・・に開示された『第二のポケットの口を覆うフラップを備えている。前記閉口手段の一部は、前記フラップに設けられている。』との構成を採用する動機付けを有するものといえる」、「以上を踏まえると、刊行物2・・・・及び刊行物3・・・・には、それぞれ、『第二のポケットの口を覆うフラップを備えている。前記閉口手段の一部は、前記フラップに設けられている。』との構成が開示されるところ、刊行物1発明は、盗難等の事故防止の効果をより確実にすべく、上記構成を採用する動機付けを有するものであるから、本願発明は、刊行物1発明に、刊行物3に記載された事項を組み合わせることにより当業者が容易に想到し得た程度のものといえる」と述べている。 |