東京地裁(平成29年9月28日)“医薬組成物事件”は、「乙15発明は、『ヒトにおいて乾癬を処置するために皮膚に塗布するための混合物であって、・・・・タカルシトール・・・・、およびBMV(ベタメタゾン吉草酸エステル)、ならびにワセリンとを含有する非水性混合物であり、皮膚に1日2回塗布するもの』というものである。そして、乙16及び17に開示されているように、本件優先日において、乾癬治療剤としてのマキサカルシトールの軟膏が既に知られていたのであるから、当業者であれば、乾癬を処置するための混合物である乙15発明において、ビタミンD3の類似体からなるタカルシトールに代えて、同じくビタミンD3の類似体からなるマキサカルシトールを使用する程度のことは、容易に想到できることというべきである」、「原告は、『乙15のD3+BMV混合物は、マキサカルシトールを含んでいなかったばかりか、乙15にマキサカルシトールについての言及は何らなく、乙15に接した当業者が、マキサカルシトールとベタメタゾンの双方を含む医薬組成物の発明に想到する動機づけは認められない』と主張する。しかしながら、上記のとおり、乙16及び17には『乾癬治療剤としてのビタミンD3の類似体であるマキサカルシトールの軟膏』が開示されているのであるから、そうであれば、乙15に接した当業者が、乙15発明におけるタカルシトールに代えて、同じくビタミンD3の類似体からなるマキサカルシトールを使用する動機付けはあるというべきである」と述べている。 |