知財高裁(平成30年1月15日)“ピタバスタチンカルシウムの新規な結晶質形態事件”は、「分割出願が適法であるための実体的要件としては、@もとの出願の明細書、特許請求の範囲の記載又は図面に二以上の発明が包含されていたこと、A新たな出願に係る発明はもとの出願の明細書、特許請求の範囲の記載又は図面に記載された発明の一部であること、B新たな出願に係る発明は、もとの出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内であることを要する。なお、本件出願(サイト注:ひ孫出願)が第1出願(サイト注:親出願)の出願時にしたものとみなされるためには、本件出願、第3出願(サイト注:孫出願)及び第2出願(サイト注:子出願)が、それぞれ、もとの出願との関係で、上記分割の要件@ないしBを満たさなければならない」、「本件発明1は、2θで表して、5.0±0.2°、6.8±0.2°、9.1±0.2°、13.7±0.2°、20.8±0.2°、24.2±0.2°に特徴的なピークを有し、20.2±0.2°に特徴的なピークを有しない、特徴的なX線粉末回折図形を示すこと等により特定されるピタバスタチンカルシウムの結晶多形であるところ、第3出願当初明細書等には、結晶多形Aとして、このような結晶多形は記載されておらず、結晶多形Aと名付けられた結晶多形以外の結晶多形としても、このような結晶多形が記載されているということはできない。したがって、本件発明1は、第3出願当初明細書等に記載された事項の範囲内にあるということはできず、前記分割の要件Bは満たさない」、「本件発明1に係る本件出願は、第3出願の一部を新たに特許出願とするものではないから、その出願日は平成26年7月30日(サイト注:本件出願の現実の出願日)となる」と述べている。 |