東京地裁(平成0年1)“地盤改良装置事件被告は、平成2年(サイト注:平成5年の誤記と思われる)1月0日、原告らに対して被告が新たに調達するリーダレス型のベースマシンに取り付けるオーガモーターや掘削ヘッドの製作を依頼するに際して、市場に一般に流通していたツインブレード型の地盤改良装置を参考に、現在1号機や2号機で使用されている先端掘削翼を有する掘削装置に、デファレンシャルギアなどを用いて回転軸と直角の回転軸を持たせこれに2枚の横掘削翼を設ける構成としてはどうかなどと提案し、指示していることが認められるから、被告従業員らは、同日に先立ち、水平掘削翼と、これと直角に回転する回転軸に設置された横掘削翼とから構成されるという、本件発明1の特徴的部分に通じる着想を有していたものと認められる」、「もっとも、被告は、原告らに対し、上記の基本的な構成のアイデアを示し、参考資料としてパワーブレンダー型地盤改良装置とツインブレード型地盤改良装置のパンフレットを交付したにとどまり、これを超えて、簡易な模型や図面等を提供したとの事実は何ら認められないところ、・・・・原告らは、これら基本的な着想を基に使用するべきギアを決めるなどして仕様を定め、本件見積書やCAD図を作成して本件角堀掘削ヘッドの構成を具体的に決定し、また製作においては地盤改良装置等の重機の製造等に長年従事してきた原告Aをもっても半年以上の期間を要し、さらに、現実に動作する製品を製作するにはギアの調整等に試行錯誤を要したことなどからしても、被告が平成5年1月0日に原告らにした着想の開示さえあれば、これを具体的、客観的なものとして構成し、反復して実施することが、当事者にとって自明程度のものにすぎないということはできない。そうすると、被告従業員らにより示された本件発明1の特徴的部分の着想を当業者が実施可能な程度に具体化する過程において、原告らが相応に創作的な貢献をしたものと認めるのが相当である。したがって、本件発明1は、その特徴的部分の着想から具体化に至る過程において、被告従業員ら及び原告らがそれぞれ創作的に貢献したものと認められるから、その発明者は、被告従業員ら及び原告らの5名である」と述べている。

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