知財高裁(平成0年1)“免疫調節ヌクレオチド(IRO)化合物事件原告は、審決は請求項1を引用する請求項4を更に引用して本願発明(請求項5)を認定するところ、本願発明のうち『疾患を治療的に処置するための組成物』という部分は、請求項4を引用する部分であるから、請求項4の記載に従って『疾患を有する脊椎動物を治療的に処置するための組成物』と認定されるべきであり、上記認定の誤りは審決の結論に影響するものであるから、審決は取り消されるべきであると主張する。そこで検討するに、・・・・本願発明(請求項5)が引用する請求項4は『請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を含む、TLRにより媒介される疾患を有する脊椎動物を治療的に処置するための組成物であって、TLRが、TLR7、TLR8および/またはTLR9である、前記組成物』というものであるから、審決が認定した本願発明のうち、請求項4を引用する『疾患を治療的に処置するための組成物』という部分は、『疾患を有する脊椎動物を治療的に処置するための組成物』の誤記であることは明らかであり、その限りで審決には誤りがある。しかしながら、当該誤記は、疾患を有する対象として『脊椎動物』という記載を欠くにとどまるものであり、その内容に照らしても、実施可能要件及びサポート要件に係るその後の審決の各判断を実質的に左右するものではないから、審決の結論に影響を及ぼすものではないことが明らかである。したがって、原告の主張は採用することができず、取消理由2は理由がない」と述べている。

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