東京地裁(平成30年1月30日)“光学情報読取装置事件”は、「証拠・・・・によれば、IT4400は、2次元コードリーダではあるが、デジタルカメラの原理や技術を採用したものと認められ、デジタルカメラと同じ課題を有するといえる。この点に関し、原告は、2次元コードリーダとビデオカメラ(デジタルカメラ)とでは、前者では後者ほどきれいな像は必要とされないが、その代わり、より正確に、より早く周辺部においても2次元コードを読み取ることができるよう、受光素子の周辺部の集光率を低下させないことが必要となるなどの違いがあると主張する。しかし、原告の上記主張からも明らかなとおり、ビデオカメラ(デジタルカメラ)においてきれいな像が必要とされるならば、当然に、受光素子の周辺部の集光率を低下させないことも求められるものであり、この意味で、2次元コードリーダ(IT4400)とビデオカメラ(デジタルカメラ)は、やはり同じ課題を有するものというべきである。 また、乙11ないし15・・・・は、いずれもデジタルカメラ等の光学系に関する発明に係る公開特許公報(いずれも本件特許出願前に公開されたもの)であるところ、これらの文献には、画像周辺部における光量不足や、射出瞳から像面までの距離の不足といった課題を解決するために『射出瞳を結像面から離した構造として、全てのレンズの前面(読取対象側)に絞りを配置する』構成とすることが記載されており、同技術は、本件特許出願時点で周知であったといえる。以上によれば、公知発明2(サイト注:本件特許出願前から日本国内で販売されていたIT4400により公然実施された発明)に、乙11ないし15に記載されたデジタルカメラ等の光学系に関する上記技術を組み合わせる動機付けはあったといえ、同組合せによれば、相違点1に係る構成は容易想到というべきである」と述べている。 |