知財高裁(平成30年11月22日)“ネマチック液晶組成物事件”は、「原告は、CC−3−V、CC−5−V及びCC−3−V1は、構造がわずかに異なるだけで、性質も類似するものであるから、甲1発明において、相互に交換可能なものであると主張する。確かに、・・・・CC−3−V、CC−5−V及びCC−3−V1は、各種の液晶組成物に用いられている低粘度成分であって、低い回転粘度を得るとの観点からは、性質が類似し、交換可能な配合成分であると評価する余地がある。しかし、本件発明は、『液晶相温度範囲が広く、粘性が低いアクティブマトリクス型液晶表示素子用液晶組成物を提供すること』を課題とするものであるところ、・・・・各化合物の性質に鑑みると、当業者は、特にネマチック相が狭く、スメクチック相が広いCC−3−Vを増量し、CC−3−V1を減量すると、最終的に得られる液晶組成物において、ネマチック相の温度範囲が狭くなり、実用的な温度範囲においてもスメクチック相が生じる可能性があると認識するのが通常と認められるから、広いネマチック相(液晶相)を得るとの観点も考慮した場合において、CC−3−V、CC−5−V及びCC−3−V1が常に交換可能な配合成分であると認めることはできない。したがって、この点についての原告の主張を採用することはできない」と述べている。 |