大阪地裁(平成0年)“プログラマブル・コントローラにおいて用いられる表示装置事件特許法101条2号において、その生産、譲渡等を侵害行為とみなす物を『発明による課題の解決に不可欠なもの』とした趣旨は、同号が対象とする物が、侵害用途のみならず非侵害用途にも用いることができるものであることから、特許権の効力の不当な拡張にならないよう、譲渡等の行為を侵害行為とみなす物(間接侵害品)を、発明という観点から見て重要な部品、道具、原料等(以下『部品等』という)に限定する点にあり、そのために、単に『発明の実施に不可欠なもの』ではなく『発明による課題の解決に不可欠なもの』と規定されていると解される。この趣旨に照らせば『発明による課題の解決に不可欠なもの』とは、それを用いることにより初めて『発明の解決しようとする課題』が解決されるような部品等、換言すれば、従来技術の問題点を解決するための方法として、当該発明が新たに開示する特徴的技術手段について、当該手段を特徴付けている特有の構成等を直接もたらす特徴的な部品等が、これに該当するものと解するのが相当である」、「本件発明1の構成は、構成要件1F・・・・を除き、乙1ないし3に記載された発明・・・・に乙1発明を組み合わせることにより、当業者が容易に想到し得たと認められる上、乙1発明にも開示されていると認められる。したがって、本件発明1において、本件発明1が新たに開示する特徴的技術手段は、構成要件1F・・・・であると認められる」、「被告表示器Aはプログラムに従ってラダー回路等の表示やタッチパネル上のタッチや検索結果の表示を可能としている・・・・が、これらは従来技術においても採用されていた構成にすぎない。したがって、被告表示器Aは、本件発明1の特徴的技術手段を直接もたらすものに当たるとは認められない」、「他方で、・・・・被告製品3は、拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能等部分を格納しており、これが被告表示器Aにインストールされることによって、被告表示器Aにおいて回路モニタ機能等の使用が可能となるのである。そうすると、被告製品3は、本件発明1の特徴的技術手段を直接もたらすものであると認められる。したがって、被告製品3は本件発明1『による課題の解決に不可欠なもの』に当たる」と述べている。

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