知財高裁(平成0年)“美肌ローラ事件無効理由1は、本件無効審判請求と同じく、乙4公報に記載の主引例と乙5〜1の1公報に記載の副引例ないし周知技術に基づいて進歩性欠如の主張をしたものであるから、無効理由1は本件無効審判請求と『同一の事実及び同一の証拠』に基づくものといえる。そして、本件審決は確定したから、被控訴人は無効理由1に基づいて本件特許の特許無効審判を請求することができない(特許法167条。特許法167条が同一当事者間における同一の事実及び同一の証拠に基づく再度の無効審判請求を許さないものとした趣旨は、同一の当事者間では紛争の一回的解決を実現させる点にあるものと解されるところ、その趣旨は、無効審判請求手続の内部においてのみ適用されるものではない。そうすると、侵害訴訟の被告が無効審判請求を行い、審決取消訴訟を提起せずに無効不成立の審決を確定させた場合には、同一当事者間の侵害訴訟において同一の事実及び同一の証拠に基づく無効理由を同法104条の3第1項による特許無効の抗弁として主張することは、特段の事情がない限り、訴訟上の信義則に反するものであり、民事訴訟法2条の趣旨に照らし許されないものと解すべきである。そして、本件において上記特段の事情があることはうかがわれないから、被控訴人が本件訴訟において特許無効の抗弁として無効理由1を主張することは許されない」と述べている。

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