大阪地裁(平成0年)“薬剤分包用ロールペーパ事件本件発明は、・・・・構成要件AないしEを備えるものであり、構成要件BないしDには、中空芯管とロールペーパと複数の磁石(以下『本件ロールペーパ等)に係る特定が、構成要件Aには、構成要件BないしDに特定される本件ロールペーパ等が用いられる薬剤分包装置に係る特定がなされている(サイト注:構成要件Eは発明の名称と同じ『薬剤分包用ロールペーパ』である。しかしながら、本件発明は『薬剤分包用ロールペーパ』という物の発明であり、直接には構成要件BないしDから構成されるところ、構成要件Aの薬剤分包装置に係る特定は、本件ロールペーパ等が『用いられ』るという前提のもと、本件ロールペーパ等の構造、機能等を特定するものとして把握すべきものであり、本件ロールペーパ等の用途又は用法を定めたものと解すべきではない(サイト注:用途発明ではないということである)」、「本件発明においては、構成要件Aの『用いられ』は、構成要件Aの記載によって構成要件B以下の内容が特定されることを意味するものとして使われているというべきであるから、そのように特定された構成要件を一体化製品(サイト注:間接侵害を問われている被告製品を用いて生産された物)が充足する場合には、構成要件Aの『用いられ』を充足すると解され、これ以上に、構成要件Aの『用いられ』が、一体化製品が構成要件Aを充足する薬剤分包装置以外には使用されないこと、あるいは現実に構成要件Aを充足する薬剤分包装置が存在することを、要件として定める趣旨と解することはできない」、「被告らは、一体化製品につき、構成要件Aのうち『測長センサ』、『シートを送りローラで送り出す給紙部』、『上記支持軸と上記中空軸の固定支持板間で』、『中空軸のずれを検出する』といった要件を充足しない旨を主張するが、原告製造の特定の薬剤分包装置の構成についての主張であり、構成要件Aと構成要件B以下との関係を前述のとおり解する以上、意味のない主張といわざるを得ない」、「弁論の全趣旨によれば、一体化製品の構成aは本件発明の構成要件Bを、構成bは構成要件Cを、構成cは構成要件Dを充足すると認められ、一体化製品は構成要件Aを充足する薬剤分包装置において使用されることが可能な構成を有すると認められる」、「一体化製品は、構成要件AないしEをすべて充足するから、本件発明の技術的範囲に属すると認められる」と述べている。

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