知財高裁(平成30年2月6日)“生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置事件”は、「法101条1号所定の『その物の生産にのみ用いる物』とは、当該『物』が特許発明に係る物の生産に使用する以外の用途(他の用途)に用いられないことをいい、他の用途とは抽象的ないし試験的な使用の可能性では足らず、社会通念上経済的、商業的ないし実用的と認められる用途であることを要すると解される」、「控訴人は、本件固定リングは本件新装置の回転円板と組み合わせることが可能であり、本件旧装置の『その物の生産にのみ用いる物』ではない旨主張する。しかし、本件固定リングについては、そもそも本件新装置には本件固定リングと形状を異にする本件新固定リングが取り付けられているところ、これに替えて本件固定リングを本件新装置の回転円板と組み合わせることが可能か否かは証拠上明らかでない。その点を措くとしても、本件固定リングに設けられている・・・・凹部は、本件新装置及び控訴人指摘に係るMX型に使用される固定リングにとっては不要な構造である。また、控訴人は、本件固定リングに縦溝を形成することによりMX型の固定リングとして運用する可能性や、そのような構成変更のため既に出回っている本件固定リングを回収することに言及するけれども、本件固定リングとMX型の固定リング・・・・との形状の相違を踏まえると、本件固定リングに縦溝を形成するだけでMX型への転用が可能となるか否かは証拠上明らかではないし、前記凹部の存在にいかに対処するかも不明である。しかも、本件固定リングの回収や転用のための加工等に要するであろうコストを考えると、本件固定リングの回収ないし転用は、経済的、商業的ないし実用的な観点からの実現性も乏しいと思われる。このように、控訴人主張に係る本件固定リングの用途は、抽象的・試験的にはともかく、社会通念上経済的、商業的ないし実用的な用途とはいいがたい。この点に関する控訴人の主張は採用し得ない」と述べている。 |