知財高裁(平成30年2月6日)“生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置事件”は、「控訴人は、被控訴人が得るべき利益は販売店に対して販売することによって得る利益であり、販売店のように、生産者に対して販売することによって得る利益は製造業者である被控訴人には帰属しないなどとして、被控訴人には法102条2項適用の前提となる損害自体が発生していない旨主張する。この控訴人の主張は、要するに被控訴人が販売店ではなく製造業者であるという事実ゆえに販売業者である控訴人と同程度に利益を得ることはできない、というにとどまるところ、当該主張事実のみをもって、本件各発明の実施品の顧客吸引力にもかかわらず、被控訴人がその取引先に対する販売の機会を持ち得なかったということはできない。他に被控訴人が取引の機会を奪われたとはいえない特段の事情もない。したがって、控訴人指摘に係る事情は、被控訴人に損害が発生しておらず法102条2項の推定が及ばないとするに足りるものではなく、また、同規定による推定を覆滅するに足る事情と見ることもできない。この点に関する控訴人の主張は採用し得ない」と述べている。 |