知財高裁(平成0年3)“切断装置事件補助参加人(サイト注:控訴人(本件製品をリースして使用した者であって被控訴人から本件特許権の被控訴人の持分について侵害を問われている者)側の補助参加人であって被控訴人と本件特許権を共有する者)は本件製品の製造販売の主体であるということができるから、本件製品については、本件特許権の共有者である補助参加人が自己実施したと評価することができる。しかし、本件専売契約の、水産加工機械の製造は補助参加人が担当し、販売は被控訴人が専ら担当する旨の合意は、特許法3条2項の『別段の定』に該当するから、本件製品の販売時に本件専売契約が存続していれば、本件製品の補助参加人による実施により本件特許権が消尽したとはいえない」、「本件専売契約は、被控訴人が水産加工機械を専ら販売し、その利益を補助参加人と被控訴人とで折半するという内容のものであるから、被控訴人が水産加工機械の販売をやめれば補助参加人は利益を得ることができなくなるので、被控訴人が販売継続することを前提としているといえる」、「被控訴人は、平成1年以降水産加工機械を販売しなくなり、新たな契約交渉も打ち切られたのであるから、平成1年6月頃には、被控訴人は、本件専売契約を継続する意思を失い、そのことを黙示的に表示したということができる。そして、・・・・平成1年6月には、補助参加人が被控訴人に対して通知を行うことによって、本件専売契約終了の意思を明らかにしている。したがって、平成1年6月頃には、両者とも本件専売契約に拘束される意思を放棄したものとして、本件専売契約を解約する旨の合意が成立していたものと認められる」、「本件製品の販売時には、本件専売契約は消滅しているから、被控訴人は控訴人に対し、本件製品の使用につき、本件特許権侵害を主張することができない」と述べている。

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