知財高裁(平成0年3)“生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置事件民法724条前段の消滅時効の起算点は、被害者等が『損害及び加害者を知った時、すなわち加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度にこれを知った時を意味するものと解するのが相当であり(最高裁判所昭和8年1月6日・・・・判決・・・・参照、また、違法行為による損害の発生及び加害者を現実に了知したことを要すると解される。これを物の製造販売による特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求の事案についてより具体的にいうと、被害者である特許権者が、加害者による当該物の製造販売の事実及びそれによる損害発生の事実を認識したことに加え、当該物が当該特許権に係る特許発明の技術的範囲に属することを認識したことも必要である。なぜならば、特許権者にそのような認識がなければ、加害者による当該物件の製造販売行為が自己の特許権を侵害する不法行為であることを認識することはできず、そのため、加害者に対する損害賠償請求権を事実上行使し得ないからである」、「被控訴人は、控訴人による本件製品1(サイト注:直接侵害品と間接侵害品)の販売の事実を平成2年8月ないしそれ以前の時期に知り、また、遅くとも平成4年2月6日・・・・ないし同年4月・・・・までには、本件装置(サイト注:直接侵害品)・・・・が本件各発明の技術的範囲に属することを認識したものと認められる。そうである以上、本件訴え提起の日である平成8年1月2日から3年前の平成5年1月2日以前の本件製品1の販売分については、控訴人の被控訴人に対する損害賠償債務につき消滅時効が完成していることになる」と述べている。

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