東京地裁(平成30年5月29日)“情報処理装置事件”は、「被告においてされた職務発明において、登録後の発明の実施等の実績に応じた対価支払請求権については被告発明考案規定において少なくとも特許登録後の支払が定められているといえるから特許を受ける権利の承継の時が相当の対価支払請求権の消滅時効の起算点となることはないとされ、また、登録前の発明の実施等の実績に応じた相当の対価の支払請求権自体は発生することがあるとしても、登録前の発明の実施等の実績に応じた対価支払請求権については、その支払時期についての定めがないといえる以上、原則どおり、特許を受ける権利の承継の時から消滅時効が進行すると解される。本件発明については、発明報告書の提出が平成8年2月12日から平成12年3月31日までの間に行われ、その頃特許を受ける権利が被告に譲渡された・・・・から、本件発明に係る特許登録前の実施についての相当の対価支払請求権については、遅くとも平成22年3月31日の経過により消滅時効が完成し、その消滅時効の援用・・・・により消滅した」と述べている。 |