知財高裁(平成0年5)“処理可能な高熱中性子吸収e基合金事件本件拒絶査定がされ、その謄本が送達された時点では、原告の本願に係る代理人は、A弁理士、B弁理士外2名の弁理士(サイト注:追加で選任された代理人)であったところ、A弁理士に対し、本件拒絶査定の謄本の送達がされたことが認められる。特許法2条は、手続をする者の代理人が2人以上あるときは、特許庁に対しては、各人が本人を代理すると定めていることからすると、A弁理士への本件拒絶査定の謄本の送達は、原告への送達として、適法なものであり、上記送達は有効である」、「原告は、特許出願手続においては、代理人の追加選任がされた場合には、新たな代理人(新たな代理人が複数の場合は、その筆頭代理人)に対し、書類の送付を行う実務運用がされてきたのであって、その実務運用には法規範性が認められ、特許庁長官が、その実務運用に反する名宛人及び場所に送達をした場合、当該送達には方式の瑕疵があり、適法な送達と認められない旨主張する。日本弁理士会の対庁協議事項集・・・・には、特許庁が、昭和4年4月1日以前において、特許出願につき『代理人が追加受任された場合は、新たな代理人を筆頭の代理人とし、特許庁からの手続は、新たな代理人に対して行うが、筆頭代理人の変更を希望しない旨の申出があったときは、この限りでない』との取扱いを行っていた旨記載されており、日本弁理士会の対庁協議事項集・・・・には、平成8年3月7日においても、同様の取扱いを行っていたことが記載されている。しかし、特許法2条は、前記のとおり、代理人の個別代理を定めているから、特許庁が上記のような取扱いをしており、それが対庁協議事項集に記載されているからといって、新たな代理人以外の代理人に対する送達の効力を否定することはできないものと解される。特許庁の上記取扱いに法規範性を認めることはできず、原告の上記主張を採用することはできない」と述べている。

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