知財高裁(平成0年7)“遊戯装置事件原告は、@仮に『キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせる』技術が周知技術ではないとしても、少なくとも『キャラクタの置かれている状況に応じて振動の種類を異ならせる技術』は、本件審決の判断を前提としても周知であり、公知技術にこれを採用することは当業者であれば容易である、A振動の種類を異ならせる手段として『間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせる』ことは複数ある選択肢のうちの1つを選択したという意味しかなく、当業者であれば適宜選択できる設計的事項にすぎない、B原告が@、Aを本件審判手続において主張していたにもかかわらず、本件審決は、これについて何ら判断することなく『キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせること』は周知技術とまではいえないことのみを理由に、容易想到性を否定しており、この点において判断を遺漏した違法がある、と主張する。しかしながら、@原告が審判請求書・・・・において主張した、公知発明と『キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせる技術』なる『周知技術Y1』との組合せによる進歩性欠如と、A原告が口頭審理陳述要領書・・・・及び審決予告・・・・後に提出した弁駁書・・・・において主張した、公知発明と『キャラクタの置かれている状況に応じて振動の種類を異ならせる技術』なる周知技術の組合せによる進歩性欠如とでは、公知発明に組み合わせる周知技術の内容が明らかに異なっているだけでなく、本件発明の特徴である『間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせること』を、それ自体独立した1つの『周知技術』として扱うか、それとも、単なる『設計的事項』として扱うかの点においても明らかに異なるものである。そうすると、上記@Aのいずれを主張するかによって、容易想到性に関する論理構成が大きく変わり得ることは自明であるから、両者は、もはや、請求の理由を構成する『特許を無効にする根拠となる事実(特許法131条2項)を異にする別個独立の無効理由というほかない。したがって、両者の間における主張の変更は、審判請求書の補正によるとしても、通常は、要旨変更として許されないものである(同法131条の2第1項柱書。ましてや、本件においては、審判請求書の補正すらなされておらず、審判長の補正許可の判断もなされてないのであるから、本件審決が上記Aの主張について明示的に判断を加えていないとしても、本件審決の判断に遺漏があるとはいえない」と述べている。

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