知財高裁(平成0年9)“LRP6を調整するための分子事件原告は、本件取消決定には具体的な理由が付されていないという重大な違法があると主張する」、「本件取消決定に係る決定書そのものには、結論に至った具体的な判断過程も、その根拠となるべき証拠による認定事実も何ら記載されていない。しかし、当該決定書には『平成8年5月3日付けで取消理由を通知し』、『上記の取消理由は妥当なものと認められる』との記載がされており、本件取消理由通知書には、取消理由の要旨と、詳細については本件異議申立書を参照のこととの記載がされ、本件異議申立書には、本件特許が取り消されるべきであることについての理由が、証拠を具体的に摘示して、詳細に記載されているのであるから、本件異議申立書、本件取消理由通知書及び本件取消決定に係る決定書の全体をみれば、当該決定書の記載が、審決の公正を保障し、当事者が決定に対する取消訴訟を提起するかどうかを考慮するのに便宜を与え、決定の適否に関する裁判所の審査の対象を明確にするという趣旨に反するものとはいえない。また、本件異議申立手続において、被告が本件取消理由通知をしたのに対し、原告が応答をしなかったという経緯も踏まえれば、本件取消決定に係る決定書そのものに、結論に至った具体的な判断過程や、その根拠となるべき証拠による認定事実が何ら記載されていないとしても、上記の結論に変わりはないものというべきである。したがって、本件取消決定に係る決定書が、適法な理由の記載を欠く違法なものであると認めることはできず、この点についての原告の主張を採用することはできない」と述べている。

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