知財高裁(平成30年9月26日)“光学情報読取装置事件”は、「本件特許出願当時、@受光素子ごとにマイクロレンズ(集光レンズ)が設けられた固体撮像素子(光学的センサ)においては、光学的センサの周辺部にある集光レンズに入射する光束の入射角が集光レンズの光軸に対して大きく傾くことにより、『ケラレ』が生じ、周辺部における受光素子に有効に入射しなくなる結果、周辺部における受光素子の光量が光学的センサの中心部における光量に比して不足するという問題があること、Aこの周辺部における受光素子の光量不足の問題を解決するための1つの手段として、『絞り』を複数のレンズで構成される結合レンズの全てのレンズよりも被写体側に配置することによって、射出瞳位置を像面から遠い位置とし、光学的センサの周辺部にある集光レンズに入射する光束の入射角の集光レンズの光軸に対する傾きを小さくする技術があることが、周知であった」、「IT4400に係る発明に接した当業者は、絞りが結像レンズの間に配置されているIT4400に係る発明においては、受光素子ごとにマイクロレンズ(集光レンズ)が設けられた固体撮像素子(CCDセンサ)の周辺部における受光素子に有効に入射しなくなる結果、周辺部における受光素子の光量が光学的センサの中心部における光量に比して不足するという問題が生じ得ること(前記・・・・@)を認識し、このような問題を解決するために、『絞り』を複数のレンズで構成される結合レンズの全てのレンズよりも被写体側に配置する構成(前記・・・・A)とする動機付けがあったものと認められる。したがって、当業者は、IT4400に係る発明及び前記・・・・@及びAの周知事項又は周知技術に基づいて、IT4400に係る発明において、『読み取り対象からの反射光が絞りを通過した後に結像レンズに入射するよう、絞りを配置することによって、光学的センサから射出瞳位置までの距離を相対的に長く設定』する構成(相違点1に係る本件発明の構成)とすることを容易に想到することができたものと認められる」と述べている。 |