知財高裁(平成0年9)“抗ウイルス剤事件本件各発明の課題は、インテグラーゼ阻害作用を有する化合物を含有する医薬組成物を新たに提供するというものである」、「原告は、本件各発明に係る化合物がインテグラーゼ阻害作用を有することは追試により実証されていると主張する。しかし、・・・・本件明細書には、本件各発明に係る化合物がインテグラーゼ阻害作用を有することを示す薬理データは記載されておらず、本件各発明に係る化合物がインテグラーゼ阻害作用を示すに至る機序についても記載されていないことに加え、原出願日時点における技術常識に照らせば、本件明細書に記載された事項から、当業者が本件各発明に係る化合物についてインテグラーゼ阻害作用を有すると認識することもできない。本件明細書における開示が上記の程度のものであるにもかかわらず、本件各発明に係る化合物はインテグラーゼ阻害作用を有するとの技術的思想が原出願日時点における発明者の単なる憶測ではなかったということを明らかにするために、原出願日以後に行われた当該技術的思想を裏付ける実験結果を用いることはできない」、「よって、・・・・本件各発明に係る特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するということはできない」と述べている。

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