知財高裁(平成31年1月31日)“容器事件”は、「本件発明1及び2と乙19文献に記載された発明とは、・・・・前者では、端縁部の下面側が平坦に構成されているのに対し、後者では、端縁部の下面側が平坦に構成されているものでない点(相違点3)で、・・・・相違する」、「相違点3について検討するに、乙19は、容器の環状屈曲部の外縁線を上下面とも波状に形成することとしており、端縁部の下面側のみを平坦に構成することが周知技術であると認められるとしても、これを適用する動機付けを認めることはできない。なお、主引用例に組み合わせる技術が周知技術であるからといって、そのことのみで、動機付けを不要とする見解を採用することはできない」、「一審被告は、端縁部の樹脂フィルム側のみを凹凸形状に成形し、樹脂発泡シート側を平坦な形状に成形することは、当業者にとって設計事項であると主張する。しかし、・・・・乙19には、凹凸形状を形成するシートは、その厚みが相当薄いものとして記載されており、その上面側のみに凹凸形状を形成する場合、凹凸形状の上下方向の距離は相当短いものとならざるを得ない。そして、・・・・乙19文献に記載された発明では、『熱可塑性樹脂発泡シートの片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された発泡積層シート』で成形加工されているか否かが不明であり、指を切る可能性がある熱可塑性樹脂フィルムが、その外縁線の上面に積層されているか否かも不明である。また、乙19には、『前記外縁線を波状外縁線に形成したことを特徴とする樹脂製容器』・・・・、『樹脂フィルムを成形してなる樹脂製容器の身と蓋において、環状屈曲部の外縁線を含む外縁側側面に容器の全周にわたり波状外縁線によるなまこ板状の起伏溝を形成し蓋取外し時に指先を傷つけず、更に環状屈曲部の強度を高め、蓋を閉じたときの密閉力を高めた容器を提供する。』・・・・との記載がある。そうすると、それにもかかわらず、乙19文献に記載された発明の特徴である容器の外縁線が上下両面において波状外縁線に形成されているという構成を、その下面のみ変更して、平坦なものとする動機付けがあったとは認められない」と述べている。 |