知財高裁(平成1年2月6日)“経皮吸収製剤事件本件訂正事項1は、要するに、請求項1における『皮膚』を『皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様』に訂正するものである。原告が指摘するとおり『皮膚』がどのような組織を意味するのかという点について、本件明細書中に定義や示唆はない。そこで、証拠として提出されている各種辞典類・・・・の記載を総合的に検討すれば、通常『皮膚』なる用語には『表皮・真皮』を指す場合と『表皮・真皮・皮下組織』を指す場合の二通りの意味があるものと認められる」、「『皮膚』は、広義では、動物(高等脊椎動物)の表皮・真皮のみならず皮下組織をも含むものとして観念されるものの、その機能の多様性に照らし、表皮・真皮のみを指す場合もあるといえ、文脈を離れて一義的にその意味するところを決することはできない。本件訂正事項1はこのうち後者の場合、すなわち、皮下組織を含まないものと定義することによって技術的に明瞭な記載とすることを意図したものであり、不明瞭な記載の釈明を目的とするものに該当する。また、かかる訂正によって本件発明の解釈に支障や混乱を来すとは認められない」と述べている。

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