知財高裁(平成1年2月7日)“インクカートリッジICチップ事件本願発明1は、インクカートリッジICチップに関し、・・・・インクカートリッジ位置の検出過程における誤報率を減らすことを課題とする」、「『課題を解決するための手段』欄のインクカートリッジICチップに係る記載00070009)には、本願発明1に含まれるインクカートリッジICチップの構成が記載されているが、このようなインクカートリッジICチップの構成とすることにより、・・・・インクカートリッジ位置の検出過程における誤報率を減らすことができる理由については何らの記載も示唆もなく、当業者が本願出願日当時の技術常識に照らしても、上記記載のみによって、本願発明1の課題を解決できると認識できるものとは認められない」、「本願明細書には、・・・・実施例が記載されている00160017・・・・上記実施例のように構成することにより、・・・・インクカートリッジ位置の検出過程における誤報率を減らすことができる理由については何らの記載も示唆もなく、当業者が本願出願日当時の技術常識に照らしても、上記実施例の記載のみによって、本願発明1の課題を解決できると認識できるものとは認められない」、「さらに、本願明細書には、・・・・実施例が記載されている0020002400840091上記実施例の記載によると、・・・・本願発明1の課題を解決できると認識することができる。そして、本願明細書には、・・・・上記実施例0020002400840091)以外に、・・・・インクカートリッジ位置の検出過程における誤報率を減らすことができ、本願発明1の課題を解決できると認識することができる実施例は見当たらない。そうすると、本願明細書に接した当業者は、本願発明1のうち、上記実施例0020002400840091)に該当するものについては、本願発明1の課題を解決できると認識するが、本願発明1のうち、その余の構成のものについては、本願発明1の課題を解決できると認識することはできないと認められる」、「本願発明1は、発明の詳細な説明の記載及び本願出願日当時の技術常識により発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えるものであり、本願発明1に係る特許請求の範囲の記載は、特許法6条6項1号(サポート要件)に適合するものとは認められない」と述べている。

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