知財高裁(令和元年)“薬剤分包用ロールペーパ事件「本件訂正発明は構成要件A〜Dからなる薬剤分包用ロールペーパに係る発明であるところ(構成要件E構成要件Aには薬剤分包装置に関する事項が構成要件B及びDにはロールペーパ及びその中空芯管並びにロールペーパに配設される複数の磁石(以下、併せて本件ロールペーパ等という)に関する事項が、構成要件Cには薬剤分包装置及びロールペーパに関する事項が、それぞれ記載され、構成要件Aにおいて、ロールペーパと薬剤分包装置の関係につき、前者が後者に用いられるものとして記載されている。本件訂正発明は薬剤分包用ロールペーパという物の発明であると認められるところ、物の発明の特許請求の範囲の記載は、物の構造、特性等を特定するものとして解釈すべきであること用いられが、構成要件Aの中で・・・ようにした薬剤分包装置に用いられ、とされていることからすると用いられとは、本件ロールペーパ等が構成要件Aで特定される薬剤分包装置で使用可能なものであることを表していると解される」、「被告製品が構成要件A〜Eで特定される本件ロールペーパ等としての構成を備えていて、構成要件Aで特定される薬剤分包装置に利用可能なものについては、被告製品は本件訂正発明の技術的範囲に属するものと認められ、被告製品が構成要件Aで特定される薬剤分包装置に実際に使用されるか否かということは、上記構成要件充足の判断に影響するものではないと解される」、「一審被告らは、本件訂正発明が用途発明であり、また、本件訂正発明において保護されるべき特徴的部分は、薬剤分包装置側の構成又は機能であることなどから、被告製品が構成要件Aを充足する薬剤分包装置に用いられてはじめて本件特許権に対する侵害が成立すると主張する。しかし、・・・・本件訂正発明は用途発明ではない。また、・・・・本件訂正発明の特徴的部分が薬剤分包装置のみにあるということはできない。したがって、一審被告らの上記主張は採用することができない」と述べている。

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