知財高裁(令和元年10月10日)“薬剤分包用ロールペーパ事件”は、「一審被告らは、本件明細書・・・・につき、原出願明細書(サイト注:原出願の出願当初の明細書及び図面)にはない記載が加筆されていると主張する」、「『又、中空芯管の端に突出部を設ける方法は、上記のような長尺のロールペーパは全体としてかなりの重さとなるため、回転支持軸への装着などの操作が重く、操作時に突出部を周囲の機器に当てて損傷させる虞れがあり、突出部を設ける方法は好ましくない。』とする本件明細書【0010】について、・・・・ロールペーパが一般的に300〜500mとかなり長尺なものであることからしてもロールペーパが相当の重量を要するものであると容易に推認できる上、証拠・・・・及び弁論の全趣旨によると、原出願日当時、既に多数のロールペーパが発売されており、当業者としては、一般的なロールペーパの重量については当然に知っていたと認められる。そうすると、ロールペーパが重くて扱いにくく、そのために突出部があると損傷させやすいから突出部を設けるべきではないとする本件明細書・・・・で新たに加えられた上記記載は、当業者にとって自明なことを述べた部分であると認められ、原出願明細書との関係で新たな技術的事項を導入するものとはいえない」、「本件明細書・・・・で加筆された事項について、分割要件違反といえない」と述べている。 |