知財高裁(令和元年10月2日)“重金属類を含む廃棄物の処理装置事件”は、「引用発明と甲2技術とは、廃棄物の水熱処理という技術分野において関連性があり、廃棄物から重金属の溶出を防止するという課題が共通しているということができる」、「しかしながら、仮に引用発明に甲2技術を適用しても、甲2には、・・・・有機系廃棄物の固形物上にトバモライト構造が層として形成されることの記載はないから、相違点2’に係る『前記重金属類が閉じ込められた5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造』が『前記有機系廃棄物の固形物上に』『層』として『形成』されるとの構成には至らない。この点につき、本件審決は、引用発明に甲2技術が適用されれば、『前記重金属類が閉じ込められた5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造』が『前記有機系廃棄物の固形物上に』いくらかでも『層』として『形成』されて、重金属の溶出抑制を図ることができるものになる旨判断し、被告は、生成した造粒物の表面全体をトバモライト結晶層で覆うことになるのは当業者が十分に予測し得ると主張する。しかしながら、特開2002−320952号公報(甲8)にトバモライト生成によって汚染土壌の表面を被覆することの開示があるとしても・・・・、かかる記載のみをもって、トバモライト構造が『前記有機系廃棄物の固形物上に』『層』として『形成』されることが周知技術であったとは認められず、被告の主張を裏付ける証拠はないから、引用発明1に甲2技術を適用して相違点2’に係る本願発明の構成に至るということはできない」、「引用発明に甲2技術を適用することによって相違点2’に係る構成を想到するに至らないのであるから、本件審決の理由によって、本願発明は引用発明及び甲2技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない」と述べている。 |