大阪地裁(令和元年10月24日)“無線通信サービス提供システム事件”は、「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならないとされている(特許法70条1項)。そこで、本件特許の特許請求の範囲の請求項1をみると、構成要件Eとして、次のように記載されている」、「『前記広告情報管理サーバは、前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後、再び前記指定地域内に戻っても、同じ前記広告情報を前記無線通信装置に送信しないこと、を特徴とする無線通信サービス提供システム。』」、「ここでは、『前記広告情報管理サーバは、同じ前記広告情報を前記無線通信装置に送信しないこと、を特徴とする無線通信サービス提供システム。』と記載されるのではなく、『前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後、再び前記指定地域内に戻っても、』という文言(以下『本件指定地域に関する文言』という。)がみられる。このように、構成要件Eには本件指定地域に関する文言がわざわざ付加されているから、その文言には何らかの意味があるものとして理解すべきであり、構成要件Eについて本件指定地域に関する文言がない場合と同じ解釈をすることは許されず、その文言によって本件発明1の構成が特定(限定)されているものと理解するのが相当である」、「当該広告情報管理サーバは、単に、同じ広告情報を無線通信装置に再送信しないようにする構成を備えているだけでは足りず、一旦指定地域外に出た後、再び指定地域内に戻ったことを把握して、当該無線通信装置に、同じ広告情報を再送信しないようにする構成を備えていなければ、構成要件Eを充足するとはいえないと解すべきである」と述べている。 |