東京地裁(令和元年10月9日)“端末装置事件”は、「乙2発明1は、放送中のテレビ番組に関連した情報を提供する情報提供システムに用いられる携帯端末装置に関するものであり、放送中のテレビ番組の場面を識別する音声信号である音響IDを用い、ID解決サーバを介して当該場面に関連する情報を取得するものであるのに対し、・・・・乙4発明は、利用者が携帯する携帯型音声再生受信器を用いた美術館や博物館等の展示物に係る音声ガイドサービスに関するものであり、展示物に固有のIDを赤外線等の無線通信波によって発信し、携帯受信器が発信域に入ると上記IDを受信し、展示物の音声ガイドが自動的に再生されるものであり、サーバに接続してインターネットを介して情報を取得する構成を有しないから、両発明は、想定される使用場面や発明の基本的な構成が異なっており、乙2発明1を乙4発明の課題(サイト注:放音装置を備えた従来の無人ガイド装置における多言語に対応した外国人への音声サービスの提供)に組み合わせる動機付けは認められない」、「被告は、@乙4発明は、放音装置を利用した情報提供技術という乙2技術(サイト注:乙2発明1に採用されている技術)と同じ技術分野に属するものであること、A乙2技術は汎用性の高い技術であり、様々な放音装置を含むシステムに利用されていたこと・・・・、B端末装置とサーバとの通信システムを利用する情報提供技術は周知のものであったこと・・・・などによれば、当業者において、乙2技術を乙4課題の解決に応用する動機付けがある旨主張する。しかしながら、乙2発明1と乙4発明がいずれも放音装置を利用した情報提供技術であるという限りで技術分野に共通性が認められ、また、本件優先日1当時、音響IDとインターネットを利用し、又は端末装置とサーバとの通信システムを利用する情報提供技術が乙2公報以外の公開特許公報に開示されていたとしても、いずれも乙4発明とは想定される使用場面や発明の基本的な構成が異なることは前記のとおりであり、乙4発明の課題の解決のみを取り上げて乙2発明1を適用する動機付けがあると認めるに足りない」と述べている。 |