知財高裁(令和元年)“新規な葉酸代謝拮抗薬の組み合わせ療法事件原告は、@第1優先権主張の基礎とされた出願の明細書(甲1)に葉酸の約0.1g〜約を組み合わせて投与する発明が記載又は示唆されていないこと及びA本件明細書の段落0060の臨床試験の結果が、第2優先権主張の基礎とされた出願の明細書(甲2)に記載されていないことからすると、本件特許の最先の優先日は、平成3年4月8日の第3優先日であって、平成2年9月7日の第2優先日から第3優先日までの間に刊行された公知文献である甲3、1、2についても進歩性判断に当たって考慮すべきであると主張する。甲・・・には、投与すべき葉酸の量について0.1g〜約g』と明示する記載があり、本件発明のそれ以外の構成部分についても、甲2に記載されているから、本件特許は少なくとも第2優先日に基づく優先権を主張することができる。本件明細書段落0060は、実施例の記載であって、そのような実施例の一部の記載が、甲2に記載されていないからといって、それのみで甲2に基づく優先権主張ができなくなるものではない。そして、上記のとおり、原告が主張する甲3、1、2は、いずれも第2優先日から第3優先日の間に公刊されたものであるから、本件発明について、遅くとも第2優先日を基礎とする優先権主張が認められる以上、それらを進歩性判断に当たって考慮することはできないというべきである」と述べている。

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