東京地裁(令和元年)“マグネシウムアルコラートの合成方法事件被告規則には特許出願時及び特許登録時に譲渡補償金を支払う旨の明示的な規定はあるものの(同9条、いわゆる実績補償金については『会社が職務発明に基づく発明の実施または実施権の許諾もしくは処分により相当の利益を得たときは、会社は当該発明者に褒賞金を支給することがある。』(同0条)と規定するのみで、一義的に明確な支払時期の定めがあるということはできない。被告規則0条が、前記のとおり『職務発明に基づく発明の実施または実施権の許諾』等を前提として褒賞金の支給について定めていることに照らすと、発明者である従業者等は、登録された特許に係る発明が実施又は実施権の許諾等される以前に褒賞金の支払を求めることはできないものの、当該発明が実施又は実施許諾等された場合には、褒賞金の請求権の行使が可能になるということができる。そうすると、被告規則に定められた褒賞金の支払時期については、本件発明の実施又は実施許諾等により利益を取得することが可能になった時点、すなわち、特許権の設定登録時又はその実施若しくは実施許諾時のうちいずれかの遅い時点であると解するのが相当である」、「本件特許の登録時は平成7年2月8日であり、また、・・・・被告が平成元年1月頃から本件特許の実施品である被告旧製品を第三者に継続的に出荷していたことは当事者間に争いがないから、被告規則0条に基づく褒賞金、すなわち本件対価請求権の支払時期は、平成7年2月8日となる。そうすると、その翌日である平成7年2月9日が消滅時効の起算日となり、同日から0年後の平成7年2月8日の経過をもって消滅時効が完成したので、本件対価請求権は時効消滅したものと認められる」と述べている。

特許法の世界|判例集