大阪地裁(令和元年)“光照射装置事件証拠・・・・及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件での被告の本件特許権侵害行為の始期である平成4年より前から、・・・・原告各製品・・・・を製造、販売していることが認められる。そうすると、原告各製品と・・・・被告各製品の需要者は共通するものといえるから、本件においては、原告に、被告による本件特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在することが認められ、特許法102条2項の適用が認められる」、「これに対し、被告は、原告各製品が本件再訂正発明の実施品ではないことや、本件再訂正発明の作用効果が実際上乏しく、また、顧客吸引力に直結するものでないことなどを指摘して、原告には、被告による本件特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情は存在せず、同項の適用は認められないと主張する。しかし、・・・・特許権者に、侵害者による特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には、同項の適用が認められるのであって、特許権者が当該特許発明を実施していることは、同項の適用に当たり必ずしも不可欠の事情ではない。上記の事情が存在する場合であるにもかかわらず特許権者が利益を得られなかったことを基礎付ける事情は、推定された損害額を覆滅する事情として考慮されると解するのが相当である。したがって、この点に関する被告の主張は採用できない」と述べている。

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