大阪地裁(令和元年12月16日)“光照射装置事件”は、「被告は、消滅時効の主張において、原告が被告各製品それぞれの販売直後にその実機を入手して構成を把握し、本件特許権侵害の事実を認識するに至っていたとし、その根拠として、原告が販売する製品のカタログに、類似品に注意することの注意喚起を必ずしていること、及び、平成22年12月に開催された展示会(以下『本件展示会』という。)において、原告の従業員が被告の出展ブースを代わる代わる訪れていたことを指摘する。まず、原告のカタログについてみると、証拠・・・・によれば、原告が平成14年以降毎年出していた製品カタログには、『類似品にご注意下さい』という記載がされていることが認められる。このことからは、特許権を始めとする知的財産権保護に関する原告の関心の高さがうかがわれるものの、あくまで一般的な注意喚起の程度にとどまり、こうしたカタログの記載のみをもって、被告各製品それぞれの販売直後にその実機を入手して構成を把握し、本件特許権侵害の事実を認識するに至っていたとまで認めることはできない。次に、本件展示会に関しては、証拠・・・・によれば、本件展示会に際し、原告の従業員が被告の出展ブースを代わる代わる訪れていたことは一応認められる。もっとも、そこで出展され、原告従業員の関心が示されていた被告の製品は『マジックドーム』なる製品であって、被告各製品ではない。また、こうした原告の従業員の行動は、原告が被告による商品展開の動向に関心を持っていたことをうかがわせるものの、そのことから直ちに、被告各製品それぞれの販売直後にその実機を入手して構成を把握し、本件特許権侵害の事実を認識するに至っていたことを認めることはできない。上記原告の知的財産権保護に関する関心の高さを併せ考慮しても、このことは変わらない。そうすると、原告が、遅くとも本件訴訟を提起した平成29年8月3日から3年前の時点で既に、被告各製品それぞれの販売直後にその実機を入手して構成を把握し、本件特許権侵害の事実を認識するに至っていたことを認めることはできない。したがって、消滅時効に係る被告の主張は採用できない」と述べている。 |