知財高裁(令和元年12月26日)“紙製包装容器事件”は、「原告は、@訂正前発明2の紙製包装容器の製造方法(本件製造方法)は、本件明細書記載の紙容器の製造プロセス・・・・と同一であり、・・・・本件製造方法により得られる物の構造は、シールされた横線シールが図A3又は図A4の三角形に折畳まれた構造のみに限られる、A訂正事項1−1により、上記プロセス(本件製造方法)に係る発明特定事項が削除されたから、本件発明2においては、・・・・最終的な形状として、開口部を内側に折り畳んだ後に底面上に倒された横線シールが内側に長方形になるように折畳まれた構造(別紙1の図B4)も含まれることになったが、このような構造の紙製包装容器は、訂正前発明2の本件製造方法では製造できない物であって、『訂正前発明2の本件製造方法により製造された物と構造、特性等が同一である物』以外の物が含むこととなるから、訂正事項1−1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである旨主張する。しかしながら、・・・・訂正前発明2の『底部』については、訂正前発明2の特許請求の範囲(請求項2)において、特定の形状の構成(構造)のものに規定する記載はないし、また、本件明細書においても、『底部』の構造、特性等を特定のものに限定する旨の記載はないのであるから、訂正前発明2においては、底部の形状に限定はないと解すべきである。また、原告が挙げる本件明細書記載の紙容器の製造プロセスは、訂正前発明2の紙製包装容器の製造方法の実施態様の1つにすぎず、訂正前発明2の紙製包装容器は、当該製造方法により製造された物に限定されるものではない。そうすると、底部の形状が別紙1の図B4の構造のものについても、訂正前発明2に含まれると解すべきである。したがって、原告の上記主張は採用することができない」、「訂正事項1−1は、特許法126条6項の要件に適合するものと認められるから、訂正事項1−1を含む本件訂正は同項の要件に適合するとした本件審決の判断に誤りはない」と述べている。 |